2016/02/09

大学時代、いつも笑顔で話しかけてくれる女の子がいたんです。
彼女とはサークルが一緒で。
その頃のぼくはいつも彼女のことを考えていました。
けれども告白するなんて思いもよらないし。
ところがそんなある日に驚くべきことがおこりました。
ぼくが足を捻挫してしまい、サークルの行き帰り、家の方向が同じだった彼女がいつも付き添ってくれることになったのです。
ぼくは夢見心地で彼女との時間を過ごしました。
けれどもそれでもたかが捻挫、残念ながらすぐに治ってしまいます。
もうさすがに彼女の助けがなくても全然普通に歩けるようになってしまったある日、彼女が言いました。
「この近くにおいしいお好み焼き屋さんがあるから、行ってみる?」と。
僕はもちろん二つ返事でOKし、彼女とそのお好み焼き屋さんへ行きました。
そのお好み焼き屋さんにつくと、なんとあろうことか、閉まっていたのです。
定休日だったのか、それか営業時間外だったのだと思います。
「閉まってるね」
「そうだね。閉まってるね」
二人でそう言い合って、あとはお互いに無言で歩きました。
今から思えば「別の店に行こう」とか言ってもよかったんです。
あるいは「また今度来ようか」とでも言えたはずです。
けれども当時の僕はそんなことを言うだけの勇気も持ち合わせていなくて、僕は何も言えなくて、そうして僕の捻挫は完全に治り、彼女と二人で歩く機会もなくなってしまいました。
あの時あの店が開いていたら、僕の人生にはどんな展開が待っていたのでしょうか。
そう、ふと思うことがあります。
彼女は今では結婚し、子供が3人いると風の噂できました。
お好み焼きを食べていると彼女のことを思い出します。